(1) 人類全体に下された三つの裁き


「地球全体そして全人類に創造主から下された裁きは何か?」と問いかけられると、クリスチャンは即座に二つの事件を思い浮かべるだろう。

第一の裁きは、食べてはいけないと命じられていた木の実をアダムとエバが食べたという反逆罪に対して主が裁きを下された。命の木に近づけないようにされて、創造の初めに与えられた永遠の命を奪われた。二人をエデンの園から追い出し、人類を含む地球全体を死の世界に陥れられた事件である。

あなたは、顔に汗を流して糧を得、ついに、あなたは土に帰る。あなたはそこから取られたのだから。あなたはちりだから、ちりに帰らなければならない。」(創3:19)

第二の裁きはノアの洪水で、十代目ノアの時代になって、人類全体が救いようのない暗闇の世界に堕落してしまったので、全地球を飲み尽くす大洪水を起こし、救いの箱船に乗った者だけを救われて、後はすべて洪水の中に滅ぼし尽くされたノアの大洪水の事件である。

わたしは今、いのちの息あるすべての肉なるものを、天の下から滅ぼすために、地上の大水、大洪水を起こそうとしている。地上のすべてのものは死に絶えなければならない。(創6:17)

しかし、三番目の裁きをあげる人は少ないかも知れない。人々に忘れられているもう一つの重要な裁きが聖書には書かれている。ノアの洪水の後、それまで共通の言語として与えられていた言語を、主ご自身の手で乱されたので、互いに意志の疎通が出来なくなってしまった。そのために人々の間に混乱が生じ、人々が全世界に散らされた出来事である。これは人類にとって致命的な大事件、創造主による大きな裁きであるにも拘わらず、僅か9節にまとめられているためかどうか、人々に無視されているように思われる「バベルの塔事件」である。

さて、全地は一つのことば、一つの話しことばであった。それゆえ、その町の名はバベルと呼ばれた。【主】が全地のことばをそこで混乱させたから、すなわち、【主】が人々をそこから地の全面に散らしたからである。(創11:1&9)

(2)ノアの子孫たち

ノアの息子セムの家系がアブラハム、そしてダビデへと繋がり、その末裔のヨセフとマリアに、赤ちゃんの姿で降臨なさったイエス・キリストをお育てする栄誉が与えられた。(二人はイエスがユダヤ民族の待ち焦がれていた救世主・神の子であることを、天使に告げられていたので知っていた。)

さて、セムから五代目ペレグの時代に、ハム(セムの弟)の子孫、クシュから出たニムロデという勇者が、地上で最初の権力者となった。「ニムロデ」は、ヘブル語で「我々は叛逆する」という意味である。彼は街を造り、主の支配から逃れようと天にも届く高い塔、「バベルの塔」の建設を始めた。それをご覧になった主は彼らの言語を乱し、彼らを全地に散らされた大事件である。